4/12の土曜日に【紺青の拳】観てきました!
上映開始して最初の土曜日なのに客入りがスッカスカでびっくり!
でも、全国の観客動員数は順調のようなので、たまたまそのシアターの客が少なかっただけだろう…多分。
ということで、行き当たりばったりで行ったにもかかわらず、特等席のチケットが取れました。
★★★
総評を先に言うと、【いろんな要素がとっちらかってる。一つ一つのシーンは好きな回】でした。
今回、映画を観終えて一番最初に思ったのは、「尺が足りなかったのかな?」ってこと。キッドとか、シンガポールとか、空手の大会とか、船突っ込みとか、京極と園子とか、新一(キッド)と蘭とか、アーサーヒライとか、とにかく要素を詰め込み過ぎで、ダイジェストみたいになっているのが気になった。
今回のストーリーを全部表現するには、上映時間があと30分くらい必要だったのではないか?
多分、映画として一つの作品を作るなら、京極さんと園子に絞ってキッドは登場すらさせなかったほうが良かったと思う。別にキッドのシーンに不満があるとかそういうわけではなくて、削るならキッドの要素かな、と言う意味です。まぁ、京極さんと園子じゃ客が来ないだろうからそれは無理だろうけど。
★★★
京極さんと園子の絡み、良かったです。京極さんは人間辞めた系の人としてギャグ要員として扱われることが多いけれど、今回は真剣に戦っているシーンも豊富ですごくかっこよかった。
園子も、いつもより大人っぽい感じに描かれているなという感じ。作画も良くてファッションも凝っているし、ヒールの音で女性らしさを表現したり、こだわってんなスタッフ!と思いました。
2人とも新たな魅力を描きつつ、元のキャラ設定は押さえている感じ。
ただ、一つだけ気になったのは、園子が交通事故に遭ったあとで京極さんにキレるシーンが違和感。京極さんが勝手に大会を棄権するわ、絆創膏の秘密を語ってくれないわ、で情緒不安定になるのですが、園子はあそこでキレるような子じゃないと思うんだよな。
原作の園子だったら京極さんに直接怒りをぶつけたりしないで、1人でしょげてたり、蘭に相談したりするんではないだろうか。もしくは次郎吉おじさまに頼んで、無理やり京極さんを試合に出場させたりするのでは。
ていうかそもそも直前でチンピラに襲われてた時に、京極さんのそばから離れてよくわかんない外国のパトカーを追いかけたりしないと思うんだよね。舞台が日本で、知り合いの警察官が通りかかったとかならまだしも。園子はもっと京極さんのことを信用しているはずなんだ。京極さんが傷を追ってピンチになってるんならともかく、普通に戦えているうちはそばを離れたりしないと思うんだけどなぁ。
その前から、園子が京極さんに不信感を抱いている描写があればしっくり来たなと思いました。スポンサーのシェリリンと怪しい関係になってたとか、若い女の子と仲良くしてたりとか。個人的にはキッド要素を削ってこういうところを描写してほしかったです。
★★★
削れ削れとは言いましたけれど、キッドのシーンも見どころはありました。
体に銃弾を受けて手当をしている時にコナンが近づいた時、キッドに変装し直してコナンと精神的な距離を置こうとするところとか。いつもは馴れ合いばっかりだけどそこはちゃんと一線引いてんのね、って。
拳の中を解き明かしてくれよ(うろ覚え)みたいな決め台詞も。
コナンと協力できるところはして別行動する時は別行動とメリハリ効いててよかったです。
窃盗の下準備や工作も丁寧に描かれていたし、ちゃんとキッドしてんなーって感じ。コナンのほうで出るキッドってたいてい話の中盤まで他人に化けてて盗みに入ってコナンにバレてさようならってパターンばっかりだからね。レーザー銃を撃たれたところは「敵に背を向けたらアカンやろwww」と思ったけど。
あとジェット機みたいなのはかっこ悪いから本編ではやめたほうがwww
★★★
リシとレオン。
ここ最近の劇場版名探偵コナンは黒の組織以外は外見すら思い出せないようなどうでもいいキャラが多かったけど、レオンはキャラが立っていた。多分リシとレオンは何年か経って紺青の拳のことを思い出した時も、あー悪役はあいつらだったなってちゃんと思い出せるんじゃないかな。
一時的にとはいえキッドを陥れたわけだし、京極さんも上手く洗脳して棄権させたわけだし。
船を突っ込ませるのと都市計画の辺りは計画ガバガバ過ぎでしょと思わざるを得ないが…
リシはもうちょいコナン達と絡ませても良かったかもなー。
★★★
アーサー・ヒライについて。
えっと、コナンにアーサー・ヒライを名乗らせるくだりいる??
あの別人なりすましがあとからなんか効いてくるのかなと思ったけど、特になかったし…というか、現地では色黒で日本に帰ってきたら元の肌色になっているのはなぜ?
普通にコナンとして合流すればよかったんじゃないの?「新一兄ちゃんにつれてきてもらったんだ~」みたいなこと言ってさ…
★★★
蘭について。
せっかくの旅行先で頻繁に新一が居なくなってんのにごちゃごちゃ言わなかったのって変装に気づいていたからだったのかー。てっきり尺が足りなくて省かれてるのかと思った。良い意味で裏切られました。
このネタばらしで永岡監督のことをちょっと好きになりました。最近の映画での蘭って、良いところを描かれることがあまりなかったんだよね。特にゼロの執行人は酷くてかわいそうなくらい。
蘭の新一を見分ける技術をピックアップしてオチに持ってきてくれたのはグッジョブです。
★★★
今回の映画の興行収入問題ですが、残念ながらゼロの執行人よりは減るのではないかと思っています。
私はこの映画、好きなほうですが、決定的に足りないのは見せ場のアクションの派手さ。
ゼロの執行人は一番印象に残ったのはどこ?と聞かれればほとんどの人が安室さんとコナンのカーアクションと答えるでしょう。実際、私もそのシーンまでは不満たらたらでしたが、そのシーンで一気に持っていかれた。
コナンの興行収入を支えているのは、そのシーン目当てに何回も足を運んでくれるファンです。決して私のように一度っきりの客ではないはず。
紺青の拳は、ここを見返したいからもう一度観に行こうと思わせるシーンがない。土台はあった。せっかく京極さんを出したし、外国でなんでもアリなんだから、蘭やキッドと組んで無双させればよかったんだよ!!!というかそれを期待して観に行った面もあったんだけどなくて残念だったなー。
一番印象に残っているのは、ドビュッシーの月光が流れながら船がぶつかってくるシーンでしょうか。あそこは狂気を感じたな。
推理シーンでキッドとコナンがバーチャル空間で要点をまとめていったのは、分かりやすくてよかった。去年のゼロの執行人で説明が分かりづらいと思っていたので、改善されていて嬉しかったです。
永岡監督、かなり好感触です。あとは料理次第なのかなと。来年は赤井さん回で見せ場を作りやすいと思うので頑張って欲しいです。